たしか2月か3月ころだったと思います。

退学届けを出したのは。 

退学届に氏名と学籍番号、退学の簡単な理由を一言書いて事務員さんに出して、手続は完了でした。

時間にして1分あるかないか。

お世話になった先生、勉強仲間もいた場所なので、こんなにあっさりと終わってしまうことに淋しさを感じ、その日の帰り校門を一人出るときには、涙が溢れてきたのを覚えています。

退学するか悩んでいた時期によく思ったのは、退学すると後々後悔するのではないか?ということでした。

しかし私は今現在において退学をしてことを一切後悔していません。

それはきっと中退後のいろんな経験を通して新しい人との出会いがあったり、司法試験以外のことへの興味が強くなってきたからだと思います。

よく目の前のことから逃げてはいけないということを聞きますよね。

わたしは在学中、大学院を辞めることは逃げなのだと思っていました。

だからこそ、心のガソリンが空っぽになってガス欠をおこしているような状態でも、大学院には毎日通っていました。

もちろんガス欠状態なので、やる気もなく、目標もなく、無表情で、ただただ授業を受け、自習室にとりあえず居るという状態でした。

今思えば、この非人間的・非生産的な毎日こそが私にとっての「逃げ」だったのではないかと思うのです。

私はずっと「途中で辞めること」=「逃げ」という考えが強すぎて、その場所に留まることに非常に執着していました。

でも、司法試験への情熱も気力も興味も何もかもなくなったというのに、自分自身をごまかしながら何となく大学院に居続けることこそ私にとっての「逃げ」だったのではないかと思うのです。

ただ、この非人間的・非生産的な「逃げ」の毎日をとことん送ることで、結果的にそこから飛び出て新たな一歩が踏み出せたともいえます。

もちろん私はみんな法科大学院なんて辞めちまえ!ということを言っているのではありません。

もしすこし気分転換をしてまた勉強を再会できるようならば、是非頑張って勉強を続けてほしいのです。

でも、気分転換をしても無気力が続くようならばそれは新しい道を探して行く一歩手前なのかもしれません。